老人ホームに転職したDさん
お年寄りが好きだった
もともとお年寄りと接するのが好きで、祖母を看護してくれた看護師の姿にあこがれて看護師の仕事に就いたというDさんですが、いざ働き始めてみると担当する病床の数が多く、個々の患者に対するケアが十分にできないことに悩んでいたそうです。提供する看護ケアは数字的な部分ばかりで、踏み込んだ精神的なケアができない状況にストレスを抱えていたのと同時に、もともと看護師を目指すきっかけとなった憧れの看護師の姿と自分があまりにもかけ離れていると感じたため、転職を決意したそうです。
転職する際は転職エージェントを利用し、上述の転職理由も隠さず正直に話したそうです。担当者はよく理解してくれて、退職の手続きや応募書類の書き方、面接対策など細かく丁寧にサポートしてくれたそうです。落ち込んだ気持ちで始まった転職活動の中で、こういったポートは非常に心強かったとDさんは言います。時期的にもあまり求人が多くなかったそうですが、このような熱心なサポートもあり無事老人ホームへの転職が叶ったそうです。
夜勤がないため、その分の手当が出ない都合上病院で勤務していたころよりは給与は下がったそうですが、多くのお年寄りと接しながらも丁寧な看護ケアを提供できるようになったDさんは、非常に充実した毎日を過ごしているとのことです。
老人ホームで学べること
老人ホームで働くことのメリットはなんといってもじっくり利用者と向き合えることです。病棟勤務の場合、話の長い患者がいたら申し訳ないとは思いつつも途中で話を終わらせなければなりませんが、老人ホームであれば利用者の話を最後までじっくり聞くことができます。その結果、お互いの信頼関係が生まれてより良い看護が提供できるようになるのです。
そして、老人ホームで働くことによって病院以上にターミナルケアを学ぶことができます。病院の場合、モルヒネや酸素を利用した医療に頼る緩和がメインになり、利用者の「~が食べたい」といった要望も誤嚥の危険性から断ることがあります。しかし老人ホームの場合、在宅で看取りを行う際はモルヒネなどの緩和ケアを行いつつ好きなものを食べさせてあげることができます。病院の場合は、モルヒネや酸素で苦痛を取り除くまでしかできませんが、老人ホームであれば苦痛を取り除いたうえで、最後は本人のやりたいことを叶えてあげることができるのです。
また、Dさんは最善のターミナルケアを提供するためにも自己学習を欠かさなかったと言います。そこで役に立った書籍が、以下に紹介する書籍です。
絵でみるターミナルケア[改訂版]: 人生の最期を豊かに生き抜く人へのかぎりない援助
絵でみるターミナルケア[改訂版]では、マンガを用いて患者に寄り添ったターミナルケアを学ぶことのできる一冊です。